日本で先に結婚したら香港もイギリスも結婚証明書が出ない!? 二重国籍妻の結婚ビザ変更ストーリー

行政書士が作る実際にあった二重国籍妻の4コマ漫画

香港は、アヘン戦争を経て1842年にイギリスの植民地となり、1997年に中国に返還されたという経緯があり、1997年の香港返還前に特別な申請を行った香港人に対して発行されたイギリスのパスポート「英国海外市民旅券(British National (Overseas) passport、略称:BNOパスポート)」をもつ香港人が、日本で配偶者ビザを申請する際には、通常の香港特別行政区旅券を所持している香港人と同様に、中国(香港)の国籍を持つ外国人として扱われます

配偶者ビザ申請が許可になったポイントを詳しく解説

許可になったポイントをまとめると?

今回の申請で許可につながったポイントは、以下の2点です。

外国の結婚証明書が提出できない事情を丁寧に説明した点

今回のご依頼者は、英国海外市民旅券もつ香港人の方であり、日本から婚姻手続きを開始されました。結婚ビザの申請では、原則として「外国籍配偶者の国籍国が発行した結婚証明書」が必要とされます。

しかし、中華人民共和国駐日本国大使館および駐日英国大使館のいずれにも確認したところ、「日本で先に結婚手続きが完了しているため、中国およびイギリス側では結婚証明書を発行できない」との回答がありました。

このため、結婚証明書を提出できない理由を具体的に説明した上で、代替資料として日本の戸籍謄本を提出し、結婚の事実を証明する形をとりました。

スピード結婚に関する懸念を、交際実態の説明で払拭した点

お二人は出会ってから1年以内で結婚されており、いわゆる「スピード婚」のケースに該当します。このような場合、入管側が「偽装結婚ではないか」と疑う傾向があるため、交際の実態や結婚に至るまでの経緯をどれだけ丁寧に説明できるかが重要になります。

今回の申請では、ご依頼者である香港人の方が途中から就労ビザで来日され頻繁に会っていたことや、交際期間中の写真、LINEのやりとりなど、信ぴょう性のある資料をあわせて提出することで、真摯な交際であったことが評価されました。

行政書士が教える二重国籍者の配偶者ビザ申請

先生の解説

📌二重国籍者との国際結婚・配偶者ビザ申請で注意すべきポイントとは?

今回ご紹介するのは、二重国籍(重国籍)者と日本人の国際結婚における「配偶者ビザ申請」の実務上の注意点です。

二重国籍の方が結婚し、配偶者ビザを申請する場合、基本的には「どの国籍で結婚手続きを行ったか」よりも「その婚姻が有効に成立しているか」が審査の焦点となります。したがって、日本の戸籍謄本および、相手国の結婚証明書を提出できれば、どちらの国籍で婚姻手続きを行ったかにかかわらず、ビザ申請は可能です。

ただし、申請に際しては以下点に特に注意が必要です。

使用する国籍・パスポート・結婚証明書を統一すること

在留資格変更許可申請(すでに日本に入国済みの場合)では、「入国時に使用したパスポートの国籍」で申請する必要があります。たとえば、中国(香港)とイギリスの二重国籍者で、入国時に中国(香港)のパスポートを使用していれば、申請も「中国(香港)」で行い、結婚証明書も中国(香港)発行のものを提出すべきです。

二重国籍者との配偶者ビザ申請は、どちらの国籍を使うか、どの書類を揃えるかによって、申請手続きのスムーズさが大きく変わります。

ビザの審査自体において、どちらの国籍で申請しても大きな差はありませんが、「本国法の判断基準」「提出する証明書類の整合性」「在留カード記載国籍」など、細かい実務対応が非常に重要です。

先生
先生

ちなみに、中国(香港)から先に結婚手続きを行った場合は、香港の結婚証明書と日本の結婚証明書(戸籍謄本)の両方を提出する必要があります。

サポート内容とご依頼費用

国籍香港人
年齢・性別30代女性
依頼内容技術・人文知識・国際業務ビザから配偶者ビザへの在留資格変更許可申請
費用126,500円
お客様の懸念点・結婚証明書がない
・交際期間が1年半

このページの監修者

初回相談無料
受付:月〜金 9:00〜18:00 土日 事前予約制

こちらのページでも詳しく解説しています

ページ番号:S-00001091