難民ビザから結婚ビザへの変更はなぜ難しい?
「難民ビザ」とよく呼ばれているビザは、実は2つの種類があります。1つは難民認定の申請が許可となり、難民として認められた方が日本に在留するための「定住者」というビザです。
もう1つは、難民認定申請中の方が審査を待つために許可されている「特定活動」というビザです。そして、結婚ビザへの変更が難しいのが後者の「特定活動」というビザから結婚ビザへ変更をしようとする場合です。
特定活動ビザであるうちは、難民認定申請を行って審査が行われている最中ということです。無事に難民認定申請が許可となればそのまま定住者ビザにて在留することができますが、難民認定が認められなければ日本を出国しなければいけません。
そのため、特定活動ビザから結婚ビザへ変更しようとすると「日本に在留することを目的に偽装結婚をしているのではないか?」と疑われてしまいやすい傾向があるのです。
残念ながら、日本で難民認定申請をされる外国人の中には、日本に滞在したいという気持ちから難民認定制度を悪用して申請してしまう方がいらっしゃいます。
そのため、結婚されたお二人が真剣な交際を経て結婚に至ったとしても、特定活動ビザから結婚ビザへ変更することはハードルの高い申請になってしまうのです。
難民とは、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国(無国籍者にあっては常居所国)の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの(無国籍者にあっては常居所国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所国に帰ることを望まないもの)(難民条約1条A(2))と定義されています。
結婚ビザを取得するにはどうしたらよい?
ああ難民認定申請中の方に確認してもらいたいポイントを下記にまとめさせてもらいます。
- 最初に日本に来たときの「ビザの種類」と「入国の目的」
- 難民認定申請をすることになった理由
- 日本に来てからビザのルール違反の有無
・不法残留(ビザの期限を過ぎたまま日本に滞在する)
・不法就労(仕事のできないビザで仕事をする、持っているビザでは行えない分野の仕事をする など)
・資格外活動違反(働いてはいけない場所で仕事をする、定められている時間を超えて仕事をする など) - その他の法律違反の有無
上記のポイントをふまえて、何もやましいことが無ければ、きちんとお二人の出会いから結婚に至る経緯を説明して結婚ビザの申請に臨んでよいと思います。
一方、何かやましいことがある場合には、結婚ビザの申請をしても許可をいただくことが難しいかもしれません。それでも、結婚ビザ申請をチャレンジするのであれば、きちんと書面で事情を説明したり、悪いことをしてしまっていたのであれば反省の気持ちを伝えて、今後日本でルールを守って生活していく気持ちを伝えたほうがよいでしょう。
例えば、とあるAさんという外国人の方がいたとします。そのAさんは、最初に来日したときは日本の学校に通うために留学ビザで入国されたとしましょう。
その後、Aさんは学費を払うため資格外活動許可を得てアルバイトをしていたものの、週28時間を超えて仕事してしまったとします。また、Aさんはアルバイトが生活の中心になり、本業である学業が疎かになり、留学ビザが更新できなくなったため、日本に引き続き滞在したい思いから、本国に帰国できる状況であるにも関わらず嘘をついて難民認定申請を行い、特定活動ビザを取得したとしましょう。
このような中で、日本人の方と出会い結婚をされたとしても、Aさんの特定活動ビザから結婚ビザへの変更が許可されることは非常に厳しいと思います。あくまで一例ではありますが、上記のような場合には一度Aさんには本国へ帰国してもらったうえで、結婚ビザの申請をされることをおすすめすることもあるでしょう。
難民ビザの外国人と結婚してビザ申請を行うなら
難民ビザ(特に難民申請中の特定活動ビザ)から結婚ビザへ変更をすることはとても難しい申請になります。申請される方の状況に応じて、必要書類の組み合わせや、申請で伝える内容を考えなければ、許可をいただくことは困難です。
また、外国人の方が一度本国へ帰国してから改めて結婚ビザを申請しようとする場合にも、過去に日本に滞在されていたときの状況は詳しく説明したほうがよいことが多いと思います。いずれの場合でも、簡単な申請ではありませんが、きちんと申請される方にあったポイントをふまえて申請を行えば、結婚ビザが取得できる可能性は十分あります。
結婚ビザ申請にお悩みであれば、ぜひご相談くださいませ!