日本人と離婚した外国人は帰国しないとダメ?

外国人の雇用 - 就業開始前に在留資格は必ず確認しましょう!

離婚すると配偶者ビザはどうなるのか

日本人と離婚したらビザが取り消されるって本当?

日本人と結婚するときのビザ相談があるように、離婚するときも同じように相談を受けます。結局のところ、相談内容は「離婚したらビザはどうなるの?」です。日本人と結婚した場合、一般的には「日本人の配偶者等」在留資格をもつ外国人が多いです。なので、離婚すると日本人の配偶者でなくなるため、離婚後もビザをもち続けていいのか心配になりますね。本来、日本で暮らす外国人に与えられる在留資格には、与えられた在留資格でしか活動してはいけない決まりがあります。例えば、「留学」在留資格を与えられた外国人は、日本の学校に通うことを目的に日本での暮らしを認められていますので、原則、留学ビザのまま仕事を行うことはできません。このように、認められた在留資格以外の活動をしてしまった場合、在留資格を取り消される可能性があり、これを在留資格取消制度といいます。

■在留資格取消事由(入管法22-4-1)
在留資格を取り消す場合は、入管法22条の4第1項に定められています。同条項に定められている取消事由は、1号~10号まであります。

■同条項7号
「日本人の配偶者」または「永住者の配偶者」として在留資格を有する外国人が、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6ヵ月以上行わないこと(正当な理由がある場合を除く)。

※正当な理由の例
① 配偶者からの暴力を理由として一時的に避難又は保護を必要としている場合
② 子どもの養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居して生活しているが生計を一にしている場合
③ 本国の親族の傷病等の理由により、再入国(みなし再入国許可を含む)による長期間の出国をしている場合
④ 離婚調停又は離婚訴訟中の場合 など

つまり、日本人の配偶者と離婚又は死別した場合のほか、婚姻の実態が存在しない期間が6カ月以上あるときは、上記の正当な理由を除き在留資格の取消事由に該当することを注意してくださいね!

配偶者ビザが取り消されると、すぐに帰国しないといけないの?

日本人と離婚して6カ月以上経過したからといってすぐにビザがなくなることはありません。よくあるケースとして、日本人と離婚した外国人が離婚してから半年以上経過した後、在留資格の更新や変更の申請をした際に入管から指摘されることが多いです。これを聞くと「じゃ、申請するときに説明すればいいじゃん。」と考えてしまいがちですが、法令順守違反であることに違いはないので入管からの心証はよくないです。なので、原則とおり、日本人と離婚又は死別した場合のほか、婚姻の実態が存在しない期間が6カ月過ぎる前に、変更申請をするようにいたしましょう。一定の要件を満たす場合、日本人の配偶者と離婚した外国人は「定住者」在留資格の変更を行うことも可能です。ただし、この離婚をして定住者ビザへ変更するというのは、定住者ビザの中でも告示外といって、きちんと法律・ルール等が定められているわけではありません。つまり、3年という期間が法律で決められているわけではなく、実務上そのように運用されているにすぎません。そのため、日本人の配偶者と離婚後に定住者ビザを希望する場合は、離婚に至った経緯や何故離婚後も日本で暮らしたいのか?具体的に日本でどのように暮らすのか?といった事を入国管理局へ説明する必要があり、難しい申請となりますので必ず専門家に相談するようにしましょう。

なお、在留資格取消手続について法律上は以下の手順で行われます。

■在留資格取消手続の概要(入管法22-4-2-9)
意見聴取通知書の送達 → 意見聴取の実施 → 在留資格取消通知書の送達

■在留資格を取り消すか否かの判断について(入管法22-4-1柱書)
在留資格の取消しは、「法務大臣は、・・・(中略)・・・在留資格を取り消すことができる。」と定めれれているとおり、実は取消事由がある場合でも在留資格を取り消すか否かについては法務大臣に裁量があり、取消原因となる事実が判明しても取消手続が開始されない場合もあります。よくあるケースとして、在留資格更新の申請のときに、在留資格該当事由が存在しない等として更新の許可が認められないことです。残念ながら、更新の許可が認められなかった場合は、一度日本から出国(帰国)して正規のルートで再度来日していただく必要があります。

日本人の配偶者と離婚後、必ずやるべきこと

日本人の配偶者と離婚した場合、必ず行わなければいけないことが1つあります。
それは、日本人の配偶者と離婚してから14日以内に離婚した旨を入国管理局へ届出をする義務があります。この届出を怠ってしまうと、今後在留資格の変更や更新を希望頂く際、審査が不利になってしまうので在留期限がまだまだ残っている方も残り少ない方も必ず入国管理局へ報告するようにしましょう!

届出義務を怠ってしまうと、20万円以下の罰金・虚偽の届出をした場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられることもあります。また、懲役を処せられた場合は退去強制事由にも該当します。届出は直接窓口へ行かなくても、入国管理局のホームページからネットでも行うことが可能ですので、必ず忘れないように手続きしましょう!

※配偶者に関する届出
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00016.html

まとめ

☑ 日本人の配偶者と離婚した場合、離婚してから14日以内に入管へ届出をだすこと
☑ 日本人の配偶者と離婚した場合、離婚してから6ヵ月以上経過すると、在留資格取消事由に該当する可能性が高いこと
☑ 日本人の配偶者と離婚した場合、定住者ビザへ変更できる可能性があること
☑ 定住者ビザへ変更する場合、離婚してから14日以内に届出をだし、6ヶ月以内に変更申請を行うこと
☑ 上記以外は原則、帰国しなければいけない可能性が高いこと

日本で国際結婚をして、離婚を考える場合、法的な問題やビザに関する疑問が生じることがあると思います。特に、外国人配偶者の方が日本に在留し続けることができるのか、帰国しなければならないのかについての情報は大変重要ですね。この記事では、日本で離婚した外国人が帰国しないとダメなのかについて詳しくご説明させていただきましたが、ご不明点等ございましたらどうぞお気軽にご相談ください。実績豊富な弊所が精一杯サポートすることをお約束します。