1. お客様からの相談メールをご紹介
大阪府在住のスリランカ人男性からこのようなお問い合わせを頂きました。
私は大阪でイベント企画をしているスリランカ人永住者です。
来年、大阪の会場でコンサートをする予定あって、スリランカでプロで活動している音楽グループ(メンバーとマネージャー入れて11人)を日本に呼びたいと思います。
呼びたいのは5日くらいです。飛行機代とか宿泊は日本側で負担します。
この場合、興行ビザになると思いますが、申請の手続きどうやって進めるか分からないので、相談したいです。
最近、このようなご相談が増えています。特に音楽や舞台など「外国人の芸能活動」を伴うイベントでは、必ず「興行ビザ」が必要です。ここでは、お客様からのご相談を例に、興行ビザ申請の流れと注意点を解説します。
2.興行ビザとは?
興行ビザは、日本でコンサート・演劇・映画撮影・格闘技などに出演する外国人が必要とする在留資格です。
出演するアーティスト本人だけでなく、同行するマネージャーやサポートスタッフも対象となります。
今回のケースでは 合計11名分 の申請が必要になり、全員分を同時にまとめて行うことが可能です。
興行ビザの申請は日本側の招へい機関が主体となって行います。出演者本人や海外のマネージャーが直接申請することはできません。
また、興行ビザは会場や施設の規模、支払われる報酬によって基準1号イ・基準1号ロ・基準1号ハ・基準2号・基準3号に分かれています。
今回の場合は「15日以内の滞在」「客席部分の収容人員が100人以上で飲食を提供しない施設で行う」「報酬が1日50万円以上」の条件を満たしているため、「基準1号ロ」に該当します。
3.興行ビザ申請に必要な書類
音楽グループがコンサートを行う際、次のような資料が求められます。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 在留資格認定証明書交付申請理由書
- 登記事項証明書
- 直近の決算書の写し
- 従業員名簿
- 会社概要資料
- 滞在日程表
- パスポート
- 証明写真
- 経歴を証明する資料
- 活動実績を証明する資料
- 興行契約に係る契約書の写し
特に興行ビザでは、海外とのやり取りが必須になるため、「興行契約に係る契約書の写し」 を準備するのに時間がかかるケースが多く見受けられます。できるだけ早めに準備を始めましょう。
4.審査で注意されるポイント
興行ビザの審査では、以下の点が特に重視されます。
- 活動内容が明確か?
- 契約条件が適正か?
- 主催者の信用度は高いか?
まず、活動内容が明確であること が大前提です。「音楽公演」としての活動を証明するために、契約書や具体的な公演計画の提出が求められます。
また、契約条件の適正さ も審査対象となります。出演料や旅費の支払い方法が不透明であったり不自然であったりすると、不許可のリスクが高まります。
さらに、主催者の信用度 も重要な判断材料です。これまでの公演実績があるかや十分な資金力があるか、運営体制が整っているかなどの点も審査で確認されます。
5.事例紹介:スリランカ人音楽グループ(11名)の興行ビザ申請
大阪府で音楽イベントを企画する個人事業主の方から、スリランカの音楽グループ(マネージャーを含む11名)を招待するための興行ビザ申請をご依頼いただきました。
- 20XX年05月:日本側主催者から弊社にご相談
- 20XX年11月:日本側主催者から弊社にご依頼
- 20XX年02月:興行ビザを申請
- 20XX年03月:許可
- 早期交付のお願い
- 主催者の開業届控え
- 主催者の納税証明書
- 主催者の残高証明
- 会場使用許可書
- コンサートのフライヤー
今回のケースでは、
- 招聘理由を「タイ国内で実績のあるプロ選手を迎えることで大会の競技レベルを高め、地域のスポーツ振興に貢献する」と明確に記載
- 興行契約書や試合計画書を添付
- 主催者の信用性を補強するため、納税証明書や残高証明を提出
といった工夫を行いました。
その結果、約1か月で許可が下り、無事にタイ人選手を迎えて大会を開催することができました。試合は大盛況となり、観客からも「本物のムエタイが見られて感動した」との声が多く寄せられました。
6.まとめ
音楽グループのように、人数が多いアーティストを日本に招く興行ビザ申請は、単純に書類をそろえるだけでは足りません。
なぜそのグループが日本で公演するのかという『理由』をしっかりと説明することが大切です。
また、イベントまでの期間が限られている場合でも、『早期交付のお願い』を添えるといった工夫次第で、審査がスムーズに進む可能性は十分にあります。
さらに、審査では主催者の信用度も重視されます。法人か個人事業主かにかかわらず、十分な資金があることを示す書類を整えることで、入管に安心感を与えることができます。
大切な公演を成功させるためにも、ビザの準備段階からしっかりと体制を整え、一歩一歩確実に進めていきましょう!

コモンズ行政書士事務所
代表行政書士 山中 健司
プロフィール
2011年8月 コモンズ行政書士事務所を開業
専門分野
帰化・永住・ビザ申請・会社設立・各種許認可




