当事務所には、日々さまざまなご相談が寄せられます。
その中には、一見すると問題なく進むように思えるケースでも、実際には複雑な手続きが必要になることがあります。
今回は、A子さん(仮名)のケースをご紹介します。

A子さんとモロッコ人のEさんの出会いは約2年前。Instagramを通じて知り合った二人は、すぐに意気投合し交際をスタートしました。交際から4カ月後、A子さんはEさんに会うためにモロッコを訪問。その後も連絡を取り合いながら関係を深め、同年12月にはEさんが短期滞在ビザで来日。A子さんのご家族や親戚にも紹介され、温かく迎えられました。
その後も、二人の関係は揺らぐことなく、翌年3月にはプロポーズ、そして婚姻届を提出し、正式に夫婦となりました。
A子さんは現在、製薬会社に勤務しており、安定した収入があります。Eさんも今後、同社での勤務を予定しており、お二人が日本で安定した生活を送ることは十分に可能です。
しかし、ここで問題となるのがEさんの在留資格です。Eさんは、短期滞在ビザで来日致しましたが、途中で難民申請を行い、現在は特定活動ビザで日本に滞在しています。
難民申請とは、難民としての保護を受けるための申請であり、通常は戦争や迫害などの理由で本国に帰国できない人々に与えられるものです。
ですが、難民申請をすると、結果が出るまで特定活動ビザという就労が可能なビザをもらうことができることから、日本で働きたいために難民ではないのに難民申請を行う外国人が問題となっています。
Eさんの場合、イスラム教からカトリックに改宗し改宗を理由に迫害を受ける危険があることなどを理由に難民申請を行っていましたが、不認定処分となり、異議申し立て中という状況でした。
配偶者ビザへの切り替えを成功させるためのポイント
配偶者ビザへの切り替えを成功させるためのポイント
1. 真実の婚姻関係であることの証明
配偶者ビザを申請する際に最も重要なのは、婚姻が偽装ではなく真実のものであることを証明することです。Eさんの場合、Instagramでの出会いから交際が始まり、A子さんがモロッコを訪問し、家族にも紹介していることがポイントになります。これらの事実を証明するために、以下のような書類を準備しました。
- 交際の経緯を示す資料:Instagramのやりとり、メッセージの履歴、交際中の写真
- 家族との関係を示す資料:A子さんの家族との写真、Eさんの家族との写真
- 結婚に至るまでの経緯を説明する資料:理由書
2. 生活基盤の安定性の確保
日本での安定した生活を送れるかどうかも審査のポイントになります。A子さんは製薬会社に勤務し、安定した収入があっため、以下のような書類を準備しました。
- A子さんの収入を証明する資料:在籍証明書、課税証明書、納税証明書
3. 難民申請歴がある場合の対応
Eさんは以前、改宗を理由に難民申請を行っていましたが、不認定となり現在異議申し立て中でした。
過去の難民申請歴が配偶者ビザの審査に影響を与える可能性があるため、過去の申請内容を確認し、適切な説明が必要でした。
さらに、難民申請中の面談では交際している女性について尋ねられることがあります。Eさんの場合、A子さんと結婚する前だったため、「交際している女性はいない」と回答していました。この点も、なぜそのような回答をしたのか、慎重に説明する必要がありました。
難民申請では、同性愛を理由に難民申請を行うケースもあり、その後日本人配偶者との結婚により配偶者ビザを申請する場合、過去の申請内容と矛盾がないか厳しく審査されることが予想されます。例えば、「同性愛者であるため本国で迫害を受ける」と主張していたにもかかわらず、異性の日本人と結婚することが不自然ではないかと不許可になることもあります。
結果:無事に配偶者ビザが許可!
慎重に準備を進めた結果、Eさんの配偶者ビザは無事に許可されました。難民申請歴がある場合、審査が厳しくなることがありますが、適切な書類をそろえ、真実の婚姻関係を証明することができれば、ビザ取得の可能性は十分にあります。
A子さんとEさんは、現在日本で新たな生活をスタートさせています。当事務所では、このような複雑なケースにも対応し、お客様の状況に応じた最適なサポートを提供しています。
「配偶者ビザの取得について不安がある」「難民申請歴があるが配偶者ビザを申請したい」といったご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。


