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Q:日本人と結婚したら就労ビザを配偶者ビザに切り替えるべき?
私は現在、「技術・人文知識・国際業務ビザ」で在留していますが、このたび日本人の方と結婚することになりました。結婚に伴い、「日本人の配偶者等ビザ」への変更を検討しています。しかし、仕事が多忙でビザ変更の手続きが煩雑に感じられます。この場合、日本人の配偶者等ビザに必ず変更しなければならない義務があるのでしょうか?
A:日本人と結婚した場合でも、外国人が就労ビザを保持し続けることは可能であり、配偶者ビザへの変更は義務ではありません。しかし、配偶者ビザには利点があり、状況に応じてビザの変更を検討することをお勧めします。
在留資格の変更とは、現在保有している在留資格に基づく活動内容を変更し、別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合に、新たな在留資格を取得するために行う申請手続きを指します。
例えば、就労を目的とする在留資格を持つ外国人が日本人と結婚した場合、結婚後も引き続き就労を継続するのであれば、活動内容に変更がないため、在留資格変更の申請は必須ではありません。この場合、就労ビザのまま在留を続けることが可能です。
一方で、結婚後に仕事を辞めて専業主婦(主夫)やアルバイトとして活動をする場合は、活動内容が変わるため、就労ビザから「日本人の配偶者等」の在留資格に変更する必要があります。
したがって、相談者様が結婚後も結婚前と同様に就労を続ける場合、配偶者ビザへの変更は法的に義務ではなく、変更しなくても問題は生じません。
ただし、「日本人の配偶者等」の在留資格には以下のメリットがあります。
「日本人の配偶者等」の在留資格には就労に対する制限がなく、職業選択の自由度が高くなり、転職やキャリアアップの幅が広がります。
一般的に就労ビザを持つ外国人が永住許可を申請する場合、原則として10年以上の在留が求められます(永住許可ガイドライン)
しかし、日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人の場合、原則として1年以上の在留で永住許可の申請が可能となる特例があります。なお、就労ビザを持つ外国人でも、日本人の配偶者との実体のある婚姻関係が認められる場合、この特例の適用を受けることができます。
万が一、日本人の配偶者と離婚した場合、状況に応じて「定住者」の在留資格を取得できる可能性があります。「定住者」の在留資格も就労制限がなく、さらに永住申請においても緩和措置が適用されることがあります。
これらのメリットを考慮すると、就労ビザから「日本人の配偶者等」の在留資格に変更できるのであれば、変更を検討する価値があると考えます。もっとも、これは義務ではなく、就労ビザのまま在留を続けることも可能です。そのため、配偶者と十分に話し合った上で、最も適切な選択をされることをお勧めいたします。
配偶者ビザ申請は専門家に依頼しましょう
就労ビザから配偶者ビザへの変更申請にあたって、就労ビザでの在留状況等(届出等義務違反や素行不良、納税義務違反など)が変更申請に影響を与える場面も少なくありません。
配偶者ビザ申請にあたり、不明点がある場合や困った点がある場合など、専門的なアドバイスが必要な場合は、ぜひ行政書士に相談してください。