在留資格の取消しについて
入管法では、在留資格を受けた日本で暮らす外国人が一定の事由に該当する場合、法務大臣が在留資格を取消すことができると定められています。該当する事由によっては、在留資格が取り消され退去強制になる場合や、出国の準備期間を与えられた上で出国する場合があります。
もちろん、入管法を守って日本で暮らしていれば在留資格を取り消されることはないのですが、お客様から在留資格が取り消されるのではないかと相談を受けることも増えています。日本で外国人が暮らしていくには在留資格は必要不可欠なものですので、しっかりとした知識をもって暮らすようにしましょう。
本記事では、行政書士が在留資格の取消しについて詳しく解説します。
在留資格の取消しとは、外国人が虚偽などの不正手段によって在留資格を取得した場合や在留資格の活動を一定期間行わないで在留していた場合に在留資格を取り消す制度です。在留資格の取消し事由は、入管法の第22条の4第1項に規定されており、全部で10項目あります。以下で10項目のポイントを簡単に紹介しておきますので確認してみてください。
- ①~④ までの項目は「偽りその他不正の手段または虚偽の書類によって日本に上陸した場合」
- ⑤~⑦ までの項目は「在留資格に該当する活動を行っていない場合」
- ⑧~⑩ までの項目は「一定期間届出を行わない場合または虚偽の届出を行った場合」
在留資格の取消し事由で、お客様からよく相談されるのは以下の⑤~⑦の項目が多いです。⑥は外国人が勤務先を退職して就職活動等を行わず滞在していた場合などが考えられます。⑦は、日本人または永住者の配偶者と離婚した後も、在留期間があるためそのまま日本で暮らし続けていた場合などが考えられます。⑤は技能実習生等の失踪が増加したことに伴い平成28年の入管法改正により追加されており、3ヶ月の期間を待たず取消しがされるようになりました。
- ⑤ は就労系の在留資格をもつ場合に該当する活動を行っておらず、かつ、他の活動を行っている場合
- ⑥ は就労系の在留資格をもつ場合に、3ヶ月以上該当する活動を行っていない場合
- ⑦ は日本人または永住者の配偶者の在留資格をもつ場合に、6ヶ月以上該当する活動を行っていない場合
行政書士のワンポイント
⑤~⑦の取消し事由については、該当する活動を行っていないことについて正当な理由があれば、取消しの対象にはあたりません。具体的には、勤務先を退職して次の勤務先を決めるために就職活動を行っていた場合などがあります。
在留資格の取消しの手続きが行われる場合は、以下のような手続きが取られます。
- 入国審査官が外国人から意見聴取
- 法務大臣等によって取消しの可否が判断される
- 取り消しの場合は該当する取消し事由によって退去強制と出国の準備期間を与えられた上での出国に分かれます。
出国方法 | 退去強制 | 出国の準備期間を 与えられた上での出国 |
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取消し事由 | ①② (⑤の取消し事由で逃亡の恐れがある場合) | ③~⑩ |
在留資格の取消しについて行政書士が詳しく解説 ~まとめ~
在留資格の取消し事由に該当するかの相談なら、コモンズ行政書士事務所にお任せください!
在留資格の取消し件数は、令和5年に1,240件となり、令和4年の1,125件と比べて10.2%増加しています。現状では、在留資格の取消し事由に該当する外国人が増えている傾向ではありますが、しっかりと在留資格の取消し事由を理解しておくことで事前に防ぐことができる可能性も高いです。そのため、在留資格の取消しについて不安がある場合は、事前に行政書士へ相談し今後の活動についてアドバイスしてもらうことをおすすめします。
在留資格の取消しに関して不明点がある場合や、専門的なアドバイスが必要な場合は、ぜひコモンズ行政書士事務所にご相談ください。