1.お客様からの相談メールをご紹介
愛知県在住の方から、このようなご相談をいただきました。
こんにちは。
私は、愛知県にあるボクシングジムを運営する○○と申します。昨年から名古屋にてスタートした本格ムエタイイベントを本年も開催することになりました。
今回の大会では、現在○○市にあるジムに選手兼トレーナーとして滞在しているタイ人選手P氏をメインイベンターとして起用することが決定しております。当初は日本人選手を対戦相手として探しておりましたが、条件が合わず合意には至りませんでした。そこで、日本人以外の選手を探すこととなり、以前より懇意にしているムエタイジムの関係者から「現在当ジムで練習している選手なら出場可能である」とのご紹介をいただきました。
実力や経歴を踏まえた結果、紹介していただいた選手であるG氏が対戦相手として適格であると判断し、このたび招聘する運びとなりました。
2.先生の解説:ムエタイのプロ選手には「興行ビザ」が必要です
ムエタイをはじめとする格闘技の選手を日本に招待する場合は、必ず在留資格(ビザ)の取得が必要になります。
ただし、選手の立場や活動内容によって求められるビザの種類が異なります。
- プロ選手の場合:試合に出場して報酬を得る活動となるため「興行ビザ」での申請が必要です。
- アマチュア選手の場合:報酬を伴わない国際大会や交流試合などに出場する場合は「特定活動ビザ」が適用されます。
今回のケースでは、プロ選手として格闘技興行に出演したもらうため「興行ビザ」での申請が必要となります。
3.興行ビザ申請に必要な書類
- パスポート写し
- 証明写真
- 申請人の経歴を証明する資料
- 申請人の活動を証明する資料
- 出場契約書(報酬・交通費の負担を明記)
- 履歴事項全部証明書
- 直近の決算書写し
- 従業員名簿
- イベントフライヤー
- 興行を行う施設の使用承諾書
- 興行を行う施設の図面及び写真
- 申請人の滞在スケジュール
- 申請人の宿泊先ホテルの予約表
👉 今回は1試合だけの予定でしたが、複数の試合に出場する場合は、会場ごとに使用承諾書のほか、図面および写真の提出が必要です。
4.審査で注意されるポイント
興行ビザの審査では、以下の点が重視されます。
- 活動内容が明確か?
出場契約書やイベントフライヤーで「格闘技の試合である」ことを証明する必要があります。 - 契約条件は適正か?
報酬額・交通費・宿泊費の負担方法などが審査でチェックされます。 - 主催者の信用度は高いか?
過去の実績や資金力、法人格や運営体制などが審査でチェックされます。 - 滞在管理はできているか?
実際の滞在スケジュールが具体的に示されている必要があります。
タイ国籍の方は15日以内の短期滞在であればビザ免除で日本に入国できます。そのため、申請人に過去の来日歴がある場合には注意が必要です。特にタイ人の場合、短期滞在ビザで入国して不法滞在やオーバーステイとなるケースが多く、そのような経歴があると日本への入国自体が認められないこともあります。
5.事例紹介:タイ人ムエタイ選手を招いたケース
愛知県にあるボクシングジムを運営する会社から、名古屋のイベントホールで行われるムエタイ興行に出場してもらうため、タイ人選手を招待したいというご依頼がありました。
報酬として約10万円を支払う契約を締結しました。
- 20XX年04月:主催者からご相談・ご依頼
- 20XX年05月:興行ビザを申請
- 20XX年06月:許可
- 出場契約書
- 選手の経歴証明(戦績を示す資料)
- 会場使用承諾書
- 会場資料(図面、写真)
- 宿泊先予約表
今回のケースでは、タイ人選手が「ムエタイのトーナメント」で優勝した実績やプロとしての戦績を示す資料を添付し、選手の実力と招聘の必要性をしっかりと裏付けました。
さらに、会場使用承諾書に加えて、施設の図面や写真を提出。参考資料として、前回のイベント開催時のフライヤーと今回の大会用フライヤーも添えました。
また、宿泊先がホテルであるため、ホテルの予約確認書も提出しております。
その結果、申請から約1か月で許可が下り、タイ人選手を無事に日本へ招聘することができました。
6.まとめ
6.先生のひとこと(まとめ)
ムエタイをはじめとするプロ格闘技選手を日本に招いて格闘技興行に参加してもらう場合には必ず興行ビザを申請する必要があります。
申請の際には、選手の実績や経歴だけでなく、契約内容やイベントの信頼性、主催者の運営体制、さらには来日後のスケジュールといった滞在管理まで総合的に審査されます。
実際の事例でも、選手のプロフィールを始め、会場の承諾書・図面・写真を提出し、イベントの信頼性を丁寧に裏付けた結果、約1か月で許可を得ることができました。
興行ビザの申請では、要件を満たしているかどうかに加え、申請書類の正確さや必要情報の不足がないこと、さらに招へい機関の信頼性や申請時期の調整も重要になります。
特に、招へい機関が初めて外国人を招く場合には審査が厳しくなる傾向があるため、状況に応じて専門家に相談することが有効です。
そのため、準備に不安がある場合や手続きに慣れていない場合は、できるだけ早めに専門家へ依頼することをおすすめします。

コモンズ行政書士事務所
代表行政書士 山中 健司
プロフィール
2011年8月 コモンズ行政書士事務所を開業
専門分野
帰化・永住・ビザ申請・会社設立・各種許認可



