最近、「帰化申請の居住要件が、5年から10年に引き上げられるのではないか」という情報を目にする機会が増えています。
本記事では、政府の公表資料(官邸発表)をもとに、事実関係を整理し、現時点で何が分かっていて、何がまだ決まっていないのかを分かりやすく解説します。
① 令和7年11月4日(内閣総理大臣の指示)
令和7年11月4日、内閣総理大臣の指示の中で、「帰化の厳格化の検討」が盛り込まれました。
ただし、この時点では
- あくまで「検討を行う」という方針が示された段階
- 具体的な制度変更や年数の明示はなし
という状況です。
② 令和8年1月23日 関係閣僚会議で示された内容
「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」において、帰化制度に関して、次の点が明確に示されました。
(1)永住と帰化の在留年数の不整合
政府資料では、次のような点が指摘されています。
- 永住許可:原則 10年以上の在留
- 帰化申請:原則 5年以上の在留
この違いについて、制度上の「不整合がある」との指摘があることが明記されました。
(2)現在の帰化審査の考え方
現在の帰化審査については、次のように説明されています。
- 国籍法の要件を満たしているかを中心に判断
- その上で「日本社会に融和していること」について個別の事情ごとに、厳格な審査を行っている
と説明されています。つまり、形式的な年数だけでなく、生活実態や社会的な適応状況も重視されているという位置づけです。
(3)今後の検討の方向性
会議では、今後の方向性として次のような表現がされています。
永住審査との整合性の観点から、「日本社会に融和していること」の要件の審査において、原則として10年以上在留していることを必要とすることなど、帰化の厳格化のための審査のあり方の検討を進める
ここで重要なポイントは、次の2点です。
- 国籍法を改正するとは書かれていない
- 「要件変更」ではなく、「審査のあり方」の検討と表現されている
現時点での整理(政府公表情報から分かること)
政府の公表資料から読み取れる内容を整理すると、次の通りです。
- 永住(10年)と帰化(5年)の在留年数の差が問題提起されている
- 帰化は現在、国籍法の要件充足を中心に審査されている
- 「日本社会に融和していること」の審査において、原則10年以上の在留を求める方向性を含め、審査の厳格化を検討している段階
今後、何が起こり得るのか(読み取れる範囲)
今回の政府文書の書きぶりからは、次の可能性が考えられます。
- 国籍法そのものを改正せず
- 「日本社会に融和していること」の審査運用の中で
- 実質的に10年以上の在留を重視する方向で、内部審査を厳格化する
が読み取れます。
ただし、現時点では次の点が明確に決まっているわけではありません。
- まだ「決定」ではない
- 具体的な運用開始時期は未定
- 2026年度が「検討段階」なのか「運用開始」なのかも不明
という状況です。
結論|「帰化が10年に確定した」わけではありません
現在の政府公表情報を踏まえると、状況は次の段階にあります。
- 帰化の厳格化は あくまで「検討中」
- 永住の10年要件との整合性を踏まえ、
10年以上の在留を重視する方向性を含めて検討 - 厳格化の内容は「10年要件」に限らない可能性もある
- 具体的な制度変更や開始時期は 未確定
したがって、「帰化の居住要件が10年に決まった」「すでに制度が変わった」という状況ではありません。
現時点では、帰化審査のあり方全体について、厳格化の検討に入っているというのが、正確な理解となります。
