永住ビザ申請の条件
永住ビザ申請の条件は大きく3種類あり、1つ目の条件は「素行が善良であること」、2つ目の条件は「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」、3つ目の条件は「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」です。ただでさえ難しい永住ビザ申請を成功させるためには、永住ビザ申請の3つの条件を全てクリアする必要があります。
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永住ビザ申請の条件
永住ビザ申請の条件は大きく3種類に分かれており、その全てをクリアしている必要があります。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
【素行善良要件】素行が善良であることとは?
素行が善良であることとは、法務省が公表している永住許可に関するガイドラインによると「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」となっています。
つまりは、日本社会の一員として「日本の法律を守って真面目に生活している」ということが求められています。具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、法就労をあっせんするなど出入国管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。
注意事項
・許可されたビザの範囲外の業務を行わないよう、十分にご注意ください
・資格外活動違反に注意し、アルバイトは週28時間以内に収めましょう
・ご自身以外の家族の素行(資格外活動違反など)にも気をつけましょう
【独立生計要件】独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することとは?
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することとは、法務省が公表している永住許可に関するガイドラインによると「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。」となっています。
つまりは、安定した収入を得て問題なく生活することができているということが求められています。1人暮らしの場合は、年収300万円が一般的な基準と言われており、扶養者が増えるごとに必要になる年収も増えます。無職であっても、貯蓄が十分にあるか、年金収入や不動産収入、保険金収入等がある場合は大丈夫です。
ただし、公共の負担にならずという言葉の通り、生活保護受給中は永住許可申請ができません。
また、申請人自身が要件を満たす必要はなく、申請人が配偶者や家族等と一緒に暮らしており、配偶者や家族に安定した収入がある場合は問題なく生活することができているという扱いになりますのでご安心ください。
注意事項
・通常、直近5年間の年収状況が、審査対象期間として取り扱われます
・課税証明書で年収が複数年300万円未満の場合は要注意です
・親や祖父母を扶養に入れる際は、申請に必要な年収が上がることに注意しましょう
【国益適合要件】その者の永住が日本国の利益に合すると認められることとは?
その者の永住が日本国の利益に合すると認められることは、さらに以下の4つに分けられます。
- 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する
- 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること
- 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
注意事項
・普通徴収で納付する場合、納付領収書が必要です
・国民年金・国民健康保険料の納付領収書は直近2年間、住民税は直近5年間の提出が必要です。紛失に注意しましょう
・転職等に伴い、社会保険の切り替えがうまくいかないと、国民年金や保険料の納付が遅延する可能性があるため注意が必要です
【国益適合要件①】原則として引き続き10年以上本邦に在留していることとは?
「引き続き10年以上本邦に在留している」という表現には、正規の在留資格を有し、中長期の滞在資格を保持していることが含まれます。そのため、就職活動が間に合わずに途中で短期滞在ビザに変更した場合、継続性が失われたと見なされる可能性があります。また、ビザの更新を怠り、オーバーステイ状態となった場合も、継続性が失われたと判断されます。
加えて、「引き続き」という用語が示す通り、日本から長期間出国している場合は、「引き続き在留している」と認められないことがあります。具体的には、1年間の出国日数が約180日以上ある場合や、一度の出国で90日以上日本を離れた場合には、継続性が失われたと判断されます。ただし、勤務先からの指示に基づく海外出張が多い場合には、一定の考慮がなされる可能性があります。
また、特定の条件を満たすことで、10年を待たずに永住ビザの申請が可能です。これは原則10年在留の特例ともいいます。
1.日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合
婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していることが求められます。
2.日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の実子等の場合
日本に継続して1年以上在留していることが必要です。
3.「定住者」の在留資格を有する者の場合
定住者の在留資格で5年以上継続して日本に在留していることが条件となります。
4.難民認定または補完的保護対象者認定を受けた者の場合
認定後、5年以上日本に継続して在留していることが必要です。
5.我が国への貢献があると認められる者の場合
日本に5年以上在留していることが求められます。
6.高度人材ポイントが70点以上の者の場合
高度人材外国人として必要な点数を維持し、3年以上継続して日本に在留していることが条件です。
7.高度人材ポイントが80点以上の者の場合
高度人材外国人として必要な点数を維持し、1年以上継続して日本に在留していることが必要です。
8.特別高度人材の場合
特別高度人材として1年以上継続して日本に在留していることが条件となります。
【国益適合要件②】公的義務を適正に履行していることとは?
「公的義務を適正に履行していること」とは、法律や規則を守り、罰金刑や懲役刑を受けるような行為をしていないことを指します。罰金刑や懲役刑などには交通違反も含まれます。軽微な交通違反を1〜2回行った場合、一般的には審査に大きな影響はありませんが、軽微な交通違反を何度も繰り返し免停(免許停止処分)となったり、無免許運転、酒気帯び運転、スピード違反、人身事故などの重大な交通違反を犯した場合には、審査に大きな影響を及ぼす可能性があります。
公的義務を適正に履行していることの中には、法律や行政の規則を守ることも含まれており、特に税金の支払い、年金や医療保険料の納付が重要です。納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付については、各種税金および公的年金、医療保険の保険料を納付期限までに支払うことが求められています。納付期限を越えて支払った場合、公的義務を適正に履行しているとは認められないため、許可が下りる可能性は非常に高くなります。
出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務についても、遵守が求められる公的義務の一部です。出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務では、在留カードに記載された事項に関する届出や、紛失等による在留カードの再交付申請、所属機関や配偶者に関する届出を14日以内に提出することが求められています。これらの届出は法的義務として存在しますが、ビザ取得後に入国管理局からの説明がないことや、目立ったペナルティがないため、これらの義務の存在を知らない方も多くいらっしゃいます。
1.個人住民税
納付遅延のない実績が最低でも5年間必要です
2.源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税
未納の税額がないことが求められます
3.公的年金の保険料
納付遅延のない実績が最低でも2年間必要です
4.公的医療保険の保険料
納付遅延のない実績が最低でも2年間必要です
【国益適合要件③】最長の在留期間をもって在留していることとは?
現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していることとは、3年もしくは5年の在留期間で日本に滞在していることが求められています。
現在の最長の在留期間は「5年」でありますが、2012年6月に在留期間5年が新設された際に「当面、在留期間3年を有する場合は最長の在留期間をもって在留しているものとして取り扱うこととする」こととなり現在も続いています。
ビザの更新申請と永住ビザ申請は同時に手続きすることが可能です。そのため、永住ビザの申請を希望される方は、ビザ更新の際に永住ビザの申請を併せて行うことを検討してください。なお、更新が3年または5年の許可を受けた場合、その後に永住ビザの審査が開始されます。
【国益適合要件④】公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこととは?
公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこととは、社会や地域住民の健康に悪影響を及ぼす行動をしないことが求められています。公衆衛生とは、地域社会の人々の健康の保持・増進をはかり、疾病を予防するため、公私の保健機関や諸組織によって行われる衛生活動とされています。そのため、地域社会の人々の健康を害するような行為を行うことは避けましょう。
永住申請のポイント
● ポイント1:申請期限
現在の在留資格から「永住者」への変更を希望する外国人は、現在の在留期間の満了日までに永住許可申請手続きを行う必要があります。なお、永住ビザ申請においては特例期間(在留期限日経過後2か月間は適法に在留できること)は適用されません。したがって、永住ビザ申請中に保有している在留資格の期限が迎える場合は、別途在留期間の更新申請を行う必要がありますので、十分に注意してください。
また、出生などの事由により「永住者」の資格を取得することを希望する外国人は、当該事由が発生した日から30日以内に許可申請を行わなければなりません。この期限を遵守しない場合、資格取得の機会を失う可能性があるため、速やかに手続きを行うことが重要です。
● ポイント2:申請者
永住許可申請は、原則として、永住権取得を希望する外国人本人が行うべきです。ただし、外国人を雇用している企業の職員に関しては、その職員が地方出入国在留管理局長から申請取次者としての承認を受けている場合に限り、代理申請が認められます。しかしながら、重要な申請であるため、できる限り本人が直接申請を行うことが望ましいとされています。もし本人が仕事の都合などにより入管に出向いて申請することが困難な場合には、行政書士に依頼することも一つの選択肢です。ビザ専門の行政書士は、基本的に取次資格を有しているため、申請者に代わって申請手続きを行うことができます。申請に関して不安や疑問がある場合は、専門の行政書士に相談することをお勧めします。
● ポイント3:申請先
申請先は、外国人の居住地を管轄する地方出入国在留管理官署です。申請者は「勤務地の最寄り」など、任意の場所を選択して申請することはできないため、注意が必要です。
● ポイント4:審査期間
出入国在留管理庁のホームページによれば、永住許可申請の標準処理期間(審査期間)はおおむね4ヵ月とされています。しかし、永住許可申請は一般的な在留資格の手続きよりも慎重に審査される傾向があるため、4ヵ月を目安としつつも、実際の審査期間はこれを上回る可能性があることを考慮する必要があります。したがって、申請者は余裕を持った計画を立てることを推奨します。
現行制度の下、永住許可を取得した後に公租公課の支払いを怠るなど、永住許可制度の趣旨に反する事例が発生しています。これを受けて、令和6年度の法改正においては、永住権の取消事由が追加されることになりました。
なお、今回の改正は新たな永住許可の要件を追加するものではなく、既存の要件を厳格化するものでもありません。むしろ、永住許可後に故意に公的義務を適切に履行しない場合や、他の要件を満たさなくなった場合には、引き続き活動や在留期間に制限がない「永住者」としての在留資格を認め続けることは適切でないとの考え方に基づいています。
施行前のため具体的な内容は定かではありませんが、多くの永住者に対しては影響がないとの見解もあり、個別の状況に応じて判断されるとされています。法律施行前に、十分な確認を行うことが重要です。
役立つ情報
【永住ビザ申請の不許可理由TOP3】
1位 | 国民年金・健康保険料の納付遅れ |
---|---|
2位 | 年収が少ない(扶養者が多い) |
3位 | 所属機関に関する届出の提出し忘れ |
【日本の永住者数】
2023年 | 89万1,569人 |
---|---|
2022年 | 86万3,936人 |
2021年 | 83万1,157人 |
2020年 | 80万7,517人 |
2021年 | 79万3,164人 |
先生の一言
代表行政書士
山 中 健 司
Kenji Yamanaka私たちは、2011年の創業以降、現在にいたるまで、数多くのお客様から永住ビザ申請のご依頼を頂いてきました。
永住ビザ申請の審査は年々厳しくなっており、数年前なら許可になったであろうケースでも、現在では不許可になるというケースがよく見られます。
永住ビザ申請は、一生に一度の申請です。不許可にならないためにも、申請条件を熟知した専門家へご依頼されることをおすすめいたします!
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