同性婚が法的に認められていない日本
2025年現在、日本では同性婚は法律上認められていません。一部自治体では「パートナーシップ証明制度」が導入されていますが、これは婚姻とは異なり、ビザ取得・相続・扶養などに関する法的効力を持ちません。
こうした制度上の限界により、日本に暮らすLGBTQカップルは日常生活の中でさまざまな不利益を受けています。
海外に活路を見出した日本人女性カップルの事例
2024年5月、日本人の50代・30代女性カップルが、カナダで難民認定を受けたという報道が注目を集めました。
このカップルは日本国内で、職場や地域社会からの差別に悩まされ、同性パートナーとしての法的な保護も得られないまま生活していました。将来への不安から2021年にカナダへ移住し、翌2022年に正式に難民申請を提出。その後、約1年の審査を経て、カナダ政府から保護対象と認定されました。
カナダ移民難民委員会は、日本における状況について以下のような見解を示しています:
- 同性カップルへの差別が全国的に存在し、居住地を移しても回避できない
- 社会に根強く残る家父長制的価値観が差別を助長している
- 法制度の不備が、LGBTQへの実質的な差別につながっている
日本では「配偶者ビザ」が取れない同性カップル
現在の日本では、同性婚が法的に認められていないため、たとえ日本人と外国人の同性カップルが海外で合法的に結婚していたとしても、「配偶者」として在留資格を取得することはできません。
そのため、外国人パートナーと日本で一緒に暮らすには、就労ビザや留学ビザなど、別の在留資格を使わざるを得ないのが現状です。
ところが、2022年9月30日、東京地方裁判所において注目すべき判決が下されました。これは、アメリカで同性婚を合法的に行った日本人と外国人のカップルが、日本で生活するために配偶者ビザを申請したところ不許可となり、訴訟に至ったケースです。
裁判所は、出入国在留管理庁の判断が憲法14条「法の下の平等」に反する可能性があると指摘。さらに、外国人同士の同性婚であれば認められている「特定活動ビザ」を、日本人と外国人の同性婚にも適用できる可能性があるとの判断を示しました。
いまだ残る制度的な課題
現時点では、同性婚を理由とした「日本人の配偶者等ビザ」は取得できません。そのため、日本で同性パートナーと暮らすには、以下のような課題が依然として残っています。
- 同性婚が認められていない国の国籍を持つ外国人パートナーが、日本のビザを取得するのは極めて困難
- 医療・相続・緊急手続きなどの場面で「法的配偶者」と認められず、意思表示や承認手続きに支障が出る
今後の法改正と社会的理解に期待
今回の難民認定は、国際的に見ても極めて異例の判断であり、日本における性的マイノリティに対する法的保障の遅れが国際社会で問題視されていることを示しています。
将来的には、日本でも同性婚の法制化や、それに連動したビザ制度の見直しが求められるでしょう。制度の変革とともに、LGBTQ当事者が安心して暮らせる社会の実現に向けた、理解と共生の土壌づくりが急務です。