【配偶者ビザ不許可事例を深堀り③】出国命令でも上陸拒否期間が1年じゃなかった
実は、配偶者ビザ申請でよくあるケースの一つに「結婚相手に不法滞在歴(オーバーステイ歴)がある」という事例があります。
このページでは、実際によくある不許可事例をもとに、どのような点が問題視されるのかを分かりやすく解説していきます。
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上陸拒否期間とは、不法滞在や犯罪などで日本から強制的に退去させられた外国人が、一定期間日本への再入国を制限される期間のことです。
原則として1年、5年、または10年の期間が設けられ、リピーターや刑事罰の重さにより異なります!
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目次
申請人にオーバーステイ歴がある場合、最も厄介な問題とは?
配偶者ビザ申請のご依頼を頂くお客様から稀に依頼をいただくのがオーバーステイ(不法残留)歴がある配偶者の配偶者ビザ申請です。オーバーステイ(不法残留)歴がある場合でも、配偶者ビザ申請は可能です。ただし、問題になってくるのが上陸拒否期間です。
ここでは実際の不許可事例として、「オーバーステイ(不法残留)後に帰国し、配偶者ビザ申請を行ったケース」をもとに、なぜ不許可となったのかを解説します。
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なお、配偶者ビザの不許可にはさまざまな理由があります。配偶者ビザの不許可理由の全体像や再申請の対策については、こちらのページで詳しく解説しています。
事例の概要
- 日本人の妻
- セネガル人の夫
- 過去にオーバーステイの履歴あり
- 日本とセネガルで婚姻は成立済み
このご夫婦が、「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書交付申請を行いました。結果は不許可でした。
不許可の理由
通知書受領後、入管から示された主な理由は次のとおりです。

要するに
- 入管法5条1項9号(ロ)に定める上陸拒否事由に該当
つまり、法律上、まだ日本に入国できない期間中であるという理由でした。
入管法5条1項9号(ロ)とは
入管法5条は 「上陸の拒否」 について定めています。その中の 1項9号(ロ) は、簡単に言うと「退去の日から1年間は日本に入国できない」というルールです。これは一般的に、
- オーバーステイ
- 自ら入管に出頭
- 出国命令制度により帰国
となった場合に適用される上陸拒否期間です。
帰国から申請までの期間を確認
今回の時系列は次のとおりでした。
- 2022年6月16日 帰国
※オーバーステイで入管に出頭し帰国 - 2025年7月25日 配偶者ビザ申請
つまり、帰国から3年39日後に申請しています。
※個人の特定を避けるため、帰国日・申請日などの年月日は一部調整しています。
ここで疑問が生じます。もし上陸拒否期間が1年であれば、2023年にはすでに来日可能になっているはずです。それにもかかわらず、なぜ上陸拒否事由に該当すると判断されたのでしょうか。
本当の不交付理由
入管職員からの説明では、次の事情がありました。申請人は、
- オーバーステイ後に自ら入管へ出頭
- しかし同時に 難民申請を行っていた
という経緯がありました。そのため、出国命令制度の要件である入管法24条の3第5項「速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること」この要件を満たさないと判断されました。
結果として、出国命令制度は適用されず、退去強制手続き扱いとなったという説明でした。
結果として何が起きたのか
本件の流れを整理するとこうなります。
✅ 本来想定される流れ
- オーバーステイ
- 自ら入管に出頭
- 出国命令制度により帰国
- 上陸拒否期間「1年」
✅ 実際に起こったこと
- オーバーステイ
- 自ら入管に出頭
- 難民申請を選択
- 難民不認定
- 退去強制手続きにより帰国
- 上陸拒否期間「5年」
つまり、本人が難民申請を選択したことで、出国命令制度が適用されなかったという構造です。
実際の上陸拒否期間
今回の時系列は次のとおりでした。
- 2022年6月16日 退去
- 2027年6月16日 まで上陸拒否期間
つまり、上陸拒否期間は5年間となっていました。
今回の申請は、2025年7月25日であったため、まだ上陸拒否期間中の申請となってしまい、不交付となったと考えられます。もし、2027年6月16日以降に申請していれば、結果が異なっていた可能性があります。
実務上よくある誤解
オーバーステイ後に自ら出頭した場合、「出頭したから上陸拒否は1年」と理解されているケースは少なくありません。しかし実際に、出国命令制度が適用されるためには、
- 速やかに出国する意思
- 手続きへの協力
- 難民申請などを行わないこと
などの留意点があります。これを満たさない場合は、退去強制扱いとなり上陸拒否期間が5年になることがあります。
重要なポイント
- 出頭すれば必ず上陸拒否1年になるわけではない
- 出国命令制度には適用条件がある
- 難民申請を行うと制度が適用されないケースがある
- 退去強制扱いになると上陸拒否期間は5年
- 上陸拒否期間中の申請は原則不許可になる
上陸特別許可という方法(おまけ)
認定不交付となった場合でも、再申請自体はすぐに行うことが可能です。再申請には「一定期間を空けなければならない」というルールはありません。
ただし、前回と同じ内容のまま申請した場合は、再び不交付となる可能性があります。特に今回のように上陸拒否期間中である場合は、その状態で呼び寄せる必要性について、入管を説得する必要があります。
このようなケースで検討されるのが上陸特別許可です。
これは、上陸拒否期間中であっても、次のような人道的な事情が認められる場合に、例外的に入国を許可する制度です。例えば次のような事情です。
- 家族の介護が必要
- 妊娠や出産があり配偶者の支援が必要
- 子育てのため夫婦の同居が不可欠
もっとも、上陸特別許可は申請すれば認められるものではなく、一般的に許可率は高くありません。そのため、なぜ上陸拒否期間中であっても来日が必要なのかについて、事情と証拠を具体的に立証することが重要になります。
まとめ
今回の事例では、婚姻自体は正式に成立しており、配偶者ビザの要件も満たしていました。しかし、過去の退去手続きの内容が問題となり、法律上まだ日本へ入国できない状態であることが判明したため、不交付となりました。
特に、オーバーステイ後の対応によっては、上陸拒否期間が「1年」ではなく「5年」となる場合がある点には注意が必要です。過去にどのような退去手続きが行われたかによって、実際に申請できる時期が大きく変わることがあります。
配偶者ビザ申請では、婚姻関係の有無だけでなく、申請人に来日歴がある場合、過去の在留履歴や退去手続きの内容を正確に確認することも非常に重要です。
この記事の監修者
代表行政書士
山 中 健 司
Kenji Yamanaka- 所属団体:日本行政書士会連合会、大阪府行政書士会
- 登録番号:第11261315号
- 登録資格:特定行政書士/申請取次行政書士
- 大阪出身。在留資格や帰化申請、化粧品・医薬部外品許可申請などを中心にサポート。依頼者との出会いを大切にし、「出会えてよかった」と思ってもらえる関係づくりを大事にしています
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