福井県にお住まいの日本人男性から婚約者であるフィリピン人女性の定住者ビザ申請のご依頼を受けました。
フィリピン人女性と出会い結婚を前提とした交際をしているが、フィリピン人女性のビザの期限が迫っているため、定住者ビザ取得に協力してほしいという内容です。
フィリピン人女性は、2018年に前々夫(日本人)と結婚するために配偶者ビザで来日したものの、前々夫とは結婚から約1年で離婚、その後すぐに前夫(日本人)と知り合い2020年に再婚したものの、前夫のDVと借金が理由で約2年半で離婚。現在は、1人暮らしをしながらアルバイトをかけもち(※正社員登用予定あり)して収入を得ているという状態でした。
今回のビザ申請にあたり、前夫との婚姻期間が2年半しかない点と前夫のDVや借金が理由で結婚をしているものの行政機関への相談履歴や医師の診断書等の客観的な証拠がない点、短期間で日本人との結婚・離婚を繰り返している点から、不許可になる可能性がとても高いことをお伝えしたうえで、ご依頼者の方の強い希望もあり申請を進めさせていただきました。

離婚による定住者ビザ申請は、最低でも前配偶者との婚姻期間が3年以上必要だと言われています。婚姻期間が3年以下の場合、相当特別な事情がないかぎり、ほぼ不許可になると考えてください。
定住者ビザ申請の内容
定住者ビザ申請に至るまでの経緯
2018年12月 前々夫と結婚し配偶者ビザで来日
2019年12月 前々夫と離婚
2020年04月 前夫と結婚
2022年08月 前夫と離婚
2023年01月
申請書類一覧表
申請人に関する資料
- 在留資格変更許可申請書
- 在留資格変更許可申請理由書
- パスポートの写し
- 在留カードの写し
- フィリピンの結婚証明書の写し(前々夫の分)
- 離婚届受理証明書(前々夫の分)
- 離婚届受理証明書(前夫の分)
- 住民票
- 市・県民税(所得・課税)証明書
- 納税証明書
- 在職証明書 2通
- 給与明細書 2通
身元保証人(申請人の交際相手)に関する資料
- 身元保証書
- 住民票
- 在職証明書
- 市・県民税(所得・課税)証明書
- 納税証明書
- 残高証明書 2通
- 嘆願書
- 申請人と身元保証人の写真
- 申請人と身元保証人のチャット履歴
その他の資料
- 前夫からのDVに関する資料
・暴力を振るわれた申請人の写真
・前夫に荒らされた自宅の写真 - 前夫の借金に関する資料
・弁護士法人からの受任通知
・債権譲受通知
・ご返済のおねがい
・未納税金の納付について
・訴訟等申立予告通知 - 申請書類について
プロの視点でチェック
定住者ビザ申請のポイント
- 特になし
- 実質的な婚姻期間が3年以下
- 安定した収入がない
- 日本人の実子がいない
- 日本人の実子の親権・監護権がない
- 日本人の実子を養育していない
- 14日以内の届出をしていない
- 海外の親権証明書がない
- 海外の扶養証明書がない
- 17歳の誕生日を過ぎている
- 法律違反がある
- 過去のビザ申請で嘘の記載がある
- 身元保証人の保証力に不安がある
- その他
実質的な婚姻期間が3年以下
離婚による定住者ビザ申請は、告示外定住ということもあり明確な基準は定めれていませんが、最低でも前配偶者との婚姻期間が3年以上必要だと言われています。また、婚姻期間については夫婦関係が良好であった期間である「実質的な婚姻期間」が3年以上必要であり、実質的な婚姻期間が3年以下の場合は不許可になる可能性が非常に高いです。
日本人の実子がいない
離婚に伴う定住者ビザ申請の場合は、日本人の実子がいるケースがあります。その場合は、日本人の実子の親権・監護権がある、日本人の実子を養育しているなどの条件をクリアしていれば、日本人の実子を扶養するという名目があるため定住者ビザへの変更がしやすくなります。ただ、今回の場合は、日本人の実子がいないため上記のケースには当てはまらず、告示外定住ということもあり難しい申請になります。
先生のコメント
特別な事情があると認められない
要因1:前夫との婚姻期間が3年以下である

今回の申請の場合は、「前夫との婚姻期間が3年以下である」という理由で、力及ばず不許可になってしまいました。
弊所といたしましては、前夫との離婚理由が「前夫からの暴力と借金及び税金滞納」という申請人に落ち度がない理由であったため、申請人が所持している限りの証拠を用意し提出させて頂きました。しかし、夫婦生活の期間が3年に満たない方の場合、個々の状況によるので一概には言えないが、日本人の実子を養育しているなどの事情がないかぎり許可は難しいとのご回答を担当されていた方から頂いております。
関連リンク
ページ番号:S-00003857