東京都にお住まいの日本人男性(元イラン国籍)から特定活動ビザ申請のご依頼を受けました。
約1年前に帰化申請を行い日本で暮らしているが、兄弟と一緒に住んでいる母親が兄弟との関係が悪くなり、他の兄弟も母親の面倒を見ることができないため、母親を日本に呼んで一緒に生活したいという内容です。
今回の申請にあたり、申請人である母親の年齢は82歳、糖尿病を患っており、現在は母国で一人暮らしをしているという状況でした。また、今回の依頼者の方は、20年以上前に来日され、1年前に帰化申請をされています。現在は、独身で個人事業主をされており、年収が約500万円とお母様を養うには問題のない収入状況でした。ご兄弟が6人以上いる点とお母様が糖尿病患者ではあるものの日常的な動作は自分でできるという点で不許可になる可能性が高い申請でしたが、ご依頼者の方の強い希望もあり申請を進めさせていただきました。
お母様は数年前までは、ドイツで暮らす二女が面倒を見られていたそうです。
特定活動ビザ申請の内容
特定活動ビザ申請に至るまでの経緯
1960年 結婚
1963年 第一子(長女)誕生 ※イラン在住
1967年 第二子(長男)誕生 ※日本在住【依頼者】
1971年 第三子(二男)誕生 ※日本在住
1973年 第四子(二女)誕生 ※ドイツ在住
1978年 第五子(三男)誕生 ※イギリス在住
1981年 第六子(三女)誕生 ※スウェーデン在住
2009年 配偶者死亡
2010年 ドイツへ移住(二女と同居のため)
2023年 イランへ帰国(二女と不仲になったため)
2024年1月(1回目)
申請書類一覧表
申請人に関する資料
- 在留資格変更許可申請書
- 在留資格変更許可申請理由書
- パスポートの写し
- 身分証明書及び日本語訳文の写し
- 夫の死亡証明書及び日本語訳文
- 長男の出生証明書及び日本語訳文の写し
- 診断書及び日本語訳文の写し
- 親族一覧表及び同居できない理由についての説明書
身元保証人(申請人の長男)に関する資料
- 身元保証書
- 戸籍謄本
- 住民票
- 所得税及び復興特別所得税の申告内容確認票の写し
- 市民税・都民税 課税証明書
- 納税証明
- 預金通帳の写し
- 全部事項証明書(建物)
- 運転免許証の写し
その他の資料
- 申請人の居住スペースに関する資料
・自宅の平面図の写し
・自宅内部の写真 - 嘆願書
- 申請書類について
プロの視点でチェック
特定活動ビザ申請のポイント
- 特になし
- 告示外特定活動である
- 申請にあたり不安な要素がある
- 申請人に法律違反がある
- 身元保証人の保証力に不安がある
- 過去のビザ申請で嘘の記載がある
- その他
告示外特定活動である
現在の法律上では海外在住の両親を日本に呼びよせて一緒に暮らすためのビザは存在しません。ただし、あくまでも人道的な措置として、高齢の親を呼ぶために特定活動ビザ(老親扶養)を申請できるという現状です。特定活動ビザ(老親扶養)の申請条件としては「親が70歳以上であること」「親の面倒をみれる親族が本国にいないこと」「親を扶養できるだけの経済力があること」などが挙げられますが、すべての条件をクリアしていても必ず許可が下りるとは限らず、総合的な判断により審査されることになります。
告示外特定活動である
今回の申請にあたり、ご兄弟が6人いることから、親族表及び同居できない理由についての説明書や嘆願書を作成し、海外のご兄弟が母親の面倒を見ることができない理由や日本にいる長男(依頼者)が適任者であることを丁寧に説明いたしました。
先生のコメント
子供の介助が必要な状況だと判断できるほど健康状態が悪化していない
要因1:診断書の発行日が古い(2022年4月)
要因2:完全に車椅子に乗るほどに健康状態が悪化していない
今回の申請の場合は、お母様の年齢は80歳を越えていたものの、診断書と実際に窓口で見たお母様の健康状態から介助が不要な状況と判断され、力及ばず不許可になってしまいました。診断書については、海外の病院が発行した診断書のため古いものであることは仕方ないのですが、短期滞在ビザ来日後に日本の病院にかかれる場合は、改めて日本の病院で診断書を書いていただく方が良さそうです。
関連リンク
ページ番号:S-00004949